投資やトレードを始めたばかりの方が、企業分析やファンダメンタルズ分析を行う際によく目にする用語のひとつに経常利益とはというキーワードがあります。しかし、具体的にどのような意味を持ち、なぜ注目されるのか理解しづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では経常利益の概要から、営業利益との違い、計算方法、そして株式投資における活用術まで、初心者の方でもわかりやすく丁寧に解説していきます。
目次
経常利益とは何か？基礎からやさしく解説
経常利益とは、企業の本業から生み出される営業利益に、本業以外の収益（受取利息・配当など）や費用（支払利息など）を加減した利益指標です。つまり企業全体としての通常業務から得られる利益水準を示しており、本業以外も含めたトータルでの収益力を把握する指標として活用されます。
経常利益と営業利益の違い：どちらも重要だが見るポイントが異なる
よく初心者の方は営業利益と経常利益を混同しがちです。営業利益は企業の本業で稼ぐ力を示す指標、一方で経常利益はそこに営業外収益・費用を加えた、より包括的な儲けを示します。
- 営業利益：企業の本業（コアビジネス）によるもうけを示す
- 経常利益：本業に加え、投資収益や利息などの本業外要素も含めたもうけを示す
営業利益は「本業力」、経常利益は「総合力」とイメージすると理解しやすいでしょう。
経常利益の計算方法と数式で理解する手順
経常利益は以下の計算式で求められます。
\(\text{経常利益} = \text{営業利益} + \text{営業外収益} – \text{営業外費用}\)
ここで、
- 営業利益：売上総利益 – 販管費
- 営業外収益：受取利息、受取配当金、投資有価証券売却益など
- 営業外費用：支払利息、社債利息、為替差損など
経常利益の計算ステップ：初心者でもわかる手順
実際に計算する場合、以下のステップで整理すると理解が深まります。
- 売上高から売上原価を引いて「売上総利益」を求める。
- 売上総利益から販売費及び一般管理費（販管費）を差し引き「営業利益」を求める。
- 営業利益に「営業外収益」を加算する。（例：受取利息、配当金）
- さらに「営業外費用」を差し引く。（例：支払利息、借入金利子）
- この結果得られた数値が「経常利益」
具体的な例を挙げると、
\(\text{経常利益} = ( \text{売上総利益} – \text{販管費} ) + \text{営業外収益} – \text{営業外費用}\)
経常利益が重要な理由：株式投資や分析での活用法
経常利益は、企業が持つ総合的な収益力を示す指標として投資家やトレーダーから注目されます。株式投資においては、企業の業績トレンドを読み解く際や、将来の配当余力、信用力を判断する際に参考にされます。また、株価指標（PER、PBR、ROEなど）と組み合わせることで、企業の実力をより深く理解することが可能です。
経常利益を見る際のポイントと見方：増減要因を読み解く
経常利益は、下記のような点を注目して見ると、なぜ増減したのかを理解しやすくなります。
- 営業外収益の有無：受取配当金や投資利益など一時的な要因か、安定的な収益源か
- 営業外費用の増減：利息負担増や為替差損など、コスト増が継続的なものか一過性なのか
- 営業利益の変動：本業が堅調であるなら、経常利益も安定しやすい
経常利益から始める初心者向け分析ステップ
経常利益を軸に、以下の手順で分析を進めていくと理解が深まります。
- 経常利益の推移を数期分比較し、増減傾向を把握する。
- 営業外収益・費用の内訳を調べ、安定的か一時的かを確認する。
- 営業利益と比較し、どの程度本業以外が寄与しているか評価する。
- 他の指標（ROE、PER、PBR）と組み合わせて、総合的な企業価値を判断する。
参考
経常利益（けいじょうりえき）とは | 野村證券野村證券
よくある質問（FAQ）
Q1. 経常利益と純利益はどう違う？
純利益は経常利益から特別損益や税金を差し引いた、最終的な利益を示します。経常利益は税引き前の段階であり、純利益は最終的な「手残り」として見ることができます。
Q2. 経常利益が増えれば必ず株価は上がる？
経常利益が増えることは企業の総合力向上を示すサインですが、株価は需給や市場心理、他のファンダメンタルズ指標にも左右されます。あくまで参考指標として位置づけましょう。
Q3. 経常利益を分析する際、どれくらいの期間を見ればいい？
一般的には3〜5年程度の長期的な推移を見ることで、安定性やトレンドを把握しやすくなります。
まとめ：経常利益は企業の収益力を総合的に把握するカギ
経常利益は、本業からの収益力と営業外の要素を合わせた総合力を示す指標です。初心者でも計算式と手順を理解すれば、より深い企業分析が可能になります。株式投資やトレードにおいて、経常利益の推移や内訳を把握することで、投資判断の精度を高められるでしょう。