【初心者向け】PERとは?投資判断に役立つ基本知識と計算方法を徹底解説

PERとは?基本的な定義とその重要性

「PER(Price Earnings Ratio)」とは、株価一株当たり利益(EPS)に対してどれくらい高いか低いかを示す株価指標の一つで、投資家が企業の割安性割高性を判断する際によく用いられます。

例えば、PERが低いほど割安な印象を受け、高いほど割高な印象を受けがちです。そのため、「PERとは株価が企業の収益力に対して高すぎるのか、適正なのか、あるいは低めなのか」を測る目安として、投資初心者にも非常に有用な指標となります。

PERの計算方法と具体的な求め方

それでは、PERがどのように計算されるのかを明確にしていきましょう。基本式は以下の通りです。

\(\text{PER} = \frac{\text{株価}}{\text{EPS(1株当たり利益)}}\)

ここで用いるEPS(Earnings Per Share)は、「企業の純利益 ÷ 発行済み株式数」で求められます。まずはEPSを知ることが前提です。

EPSの求め方

EPSは以下のような手順で計算できます。

  1. 企業の純利益を確認する(例:純利益が1億円)
  2. 発行済み株式数を確認する(例:100万株)
  3. EPS = 純利益 ÷ 発行済み株式数 = 1億円 ÷ 100万株 = 100円/株

このようにEPSがわかれば、株価(例:1株あたり1,000円)の場合、PERは

\(\text{PER} = \frac{1,000円}{100円} = 10\)

となります。

PER計算のステップバイステップ解説

もう少し詳細な流れを示します。

  1. 企業の決算情報から純利益を確認します。
  2. 企業が発行している株式数を調べます。
  3. 純利益を株式数で割り、一株あたりの利益(EPS)を求めます。
  4. 現在の株価をEPSで割り、PERを算出します。

PERで投資判断する際のポイント(目安や平均値)

一般的に、PERは「15倍程度」が一つの目安と言われますが、これはあくまで過去の平均的な水準です。

業界や銘柄によってPERの「適正値」は異なります。急成長が期待されるIT企業やベンチャー企業はPERが高くなる傾向があり、成熟企業や安定企業はPERが低めになりやすいなど、市場セクターや時代背景によって大きく変動します。

POINT

PERは単純な「高い・低い」で判断せず、その銘柄が属する業界の平均PERや過去の実績、将来の成長性など総合的に考慮することが重要です。

PERの活用事例と分析の進め方

例えば、ある銘柄AのPERが10倍、類似のビジネスモデルを持つ銘柄BのPERが20倍だとしましょう。この場合、銘柄Aは相対的に割安に見えます。ただし、B社は成長率が非常に高く、今後EPSが大きく伸びる余地がある可能性もあります。このようにPERは「現在の評価」と「未来の期待」をバランスよく考慮して判断するべき指標です。

  • 市場平均と比較:日経平均株価やTOPIX等の平均PERと比較し、割高・割安を把握
  • 同業他社と比較:同じ業種内でのPER格差を調べ、相対的な評価を行う
  • 将来予想PERの活用:予想EPSを使用して将来のPERを予測し、成長性を織り込んだ分析を試みる

より詳細なPER解説は以下も参考になります。


参考
PER(株価収益率)とは?PBRとの違い、目安などわかりやすく解説日本M&Aセンター

PERとPBR、ROEとの比較で理解を深める

PERは収益性に焦点を当てた指標ですが、PBR(株価純資産倍率)やROE(自己資本利益率)など、他の指標と組み合わせて企業価値を多面的に捉えることで、より正確な投資判断が可能になります。

PERとPBRの違い

PERは利益ベース、PBRは純資産ベースで企業の価値を評価します。PERが高いのにPBRが低い場合は、その企業の純資産に対する評価は低いが、利益面では評価が高いことを示唆します。逆に、PERが低くPBRが高い場合は、利益面での評価が低い割に純資産が評価されている可能性があります。

他の指標についても調べる場合は以下の参考も有用です。


参考
PERとは?目安や計算式、活用する際の注意点をわかりやすく解説松井証券

PERを用いる際の注意点とリスク

PERはあくまで「現時点」や「直近の利益」を基準に算出された指標であるため、将来の業績変動や特別損益、景気サイクルなどを反映しきれない場合があります。

また、利益が一時的に膨れ上がったり、あるいは急減したりすると、PERが異常値を示すこともあります。そのため、PERだけに依存することなく、他の財務諸表や指標、企業ニュースなど総合的な分析が求められます。

PERに関するよくある質問(Q&A)

Q1:PERが低い銘柄は必ず買いですか?

必ずしもそうではありません。PERが低い=割安に見えることは多いですが、将来成長が見込めない企業であれば、結局のところ株価が伸び悩む可能性があります。

Q2:PERはどれくらいを目安にすべきですか?

一般的には15倍前後が一つの目安とされていますが、あくまで参考値です。業界や市場環境、企業の成長性により適正水準は変動します。

Q3:PERと併用するとよい指標はありますか?

PBR、ROE、営業利益率、自己資本比率など、複数の財務指標を組み合わせることで、より多面的な分析が可能になります。

まとめ

投資初心者にとって、PERは理解しやすく使い勝手の良い株価評価指標であり、企業の割高・割安を素早く把握するのに役立ちます。ただし、PERは過去および現時点の利益をベースにしているため、未来を見据えた投資判断を行うには、将来予測や他指標との比較も欠かせません。

まずはPERの基礎を押さえ、EPSやPBR、ROEなど複数の観点から企業分析を行うことで、より良い投資判断へとつなげていきましょう。

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