【定点観測】信用買い残トップ20銘柄の月次推移レポート|2026年5月版

目次

結論:2026年5月の信用買い残トップ20は情報・通信セクターが34.87%を占め、NTTが1億5501万株で圧倒的首位

2026年5月1日時点の信用買い残上位20銘柄は、情報・通信・広告セクターが5銘柄で全体の34.87%を占め、リスクが大きく偏在している構造が鮮明になった。首位の日本電信電話(9432)は1億5501万株で前月比+4.42%と買い残を積み増し、2位の東京電力HD(9501)は9980万株で前月比-6.45%と減少した。注目はオンコセラピー・サイエンス(4564)フジクラ(5803)で、買い残がそれぞれ+26.87%・+24.05%と急増した一方、株価は-16.67%・-6.36%と下落し、需給悪化の兆候が顕著に表れている。信用買い残の増加と株価下落が同時進行する銘柄は、短期的にさらなる下押し圧力に警戒が必要である。

信用買い残トップ20銘柄の全体像(2026年5月1日時点)

2026年5月1日時点での信用買い残上位20銘柄を、前月(2026年4月24日)との比較とともに一覧表で示します。

順位 銘柄コード 銘柄名 市場 セクター 信用買い残(株) 前月比(%) 信用倍率 株価騰落率(%)
1 9432 日本電信電話 プライム 情報・通信・広告 155,014,400 +4.42 76.87 +0.59
2 9501 東京電力HD プライム 資源・エネルギー 99,801,800 -6.45 42.07 -4.48
3 1360 日経平均ベア2倍上場投信 ETF その他金融 52,281,100 -12.71 25.21
4 3350 メタプラネット スタンダード サービス 47,105,300 +1.86 -10.32
5 8306 三菱UFJFG プライム 金融 36,784,600 -0.28 22.63 +8.69
6 5401 日本製鉄 プライム 素材 35,771,700 +1.01 23.48 -4.21
7 9434 ソフトバンク プライム 情報・通信・広告 30,233,200 -14.90 9.28 +2.18
8 4564 オンコセラピー・サイエンス グロース 医療医薬・バイオ 25,979,700 +26.87 12.48 -16.67
9 4477 BASE グロース 情報・通信・広告 25,493,900 +0.09 40.38 -11.72
10 8918 ランド スタンダード 建設・不動産 24,684,700 -4.60 0.00
11 4755 楽天グループ プライム 情報・通信・広告 23,270,200 -0.02 34.28 -1.50
12 4563 アンジェス グロース 医療医薬・バイオ 23,216,000 -2.42 16.68 -5.66
13 3777 環境フレンドリーHD グロース 資源・エネルギー 22,475,300 +1.00 -15.25
14 4594 ブライトパス・バイオ グロース 医療医薬・バイオ 20,302,800 -2.20 13.95 -15.00
15 4597 ソレイジア・ファーマ グロース 商社・卸売 16,967,400 +0.09 15.56 -20.00
16 5803 フジクラ プライム 素材 16,879,300 +24.05 6.63 -6.36
17 5016 JX金属 16,792,500 -4.10 13.14 -12.43
18 4689 LINEヤフー プライム 情報・通信・広告 16,493,300 -3.72 25.02 -2.04
19 2936 ベースフード グロース 食品 14,956,200 -0.02 18.96 -3.17
20 3315 日本コークス工業 プライム 資源・エネルギー 13,967,900 +0.59 3.16 -5.66
“POINT”

上位20銘柄の信用買い残合計は約7億1847万株。首位NTTだけで全体の21.6%を占め、リスクの集中度が極めて高い構造です。

セクター別集計:情報・通信セクターが圧倒的優位

上位20銘柄をセクター別に集計すると、情報・通信・広告セクターの突出ぶりが一層明確になります。

セクター 銘柄数 信用買い残合計(株) 構成比(%) 主要銘柄
情報・通信・広告 5 250,505,000 34.87 NTT、ソフトバンク、BASE、楽天、LINEヤフー
資源・エネルギー 3 136,245,000 18.96 東京電力HD、環境フレンドリーHD、日本コークス工業
医療医薬・バイオ 3 69,498,500 9.67 オンコセラピー、アンジェス、ブライトパス・バイオ
その他 2 69,073,600 9.61 日経ベアETF、JX金属
素材 2 52,651,000 7.33 日本製鉄、フジクラ
サービス 1 47,105,300 6.56 メタプラネット
金融 1 36,784,600 5.12 三菱UFJFG
建設・不動産 1 24,684,700 3.44 ランド
商社・卸売 1 16,967,400 2.36 ソレイジア・ファーマ
食品 1 14,956,200 2.08 ベースフード

情報・通信セクターだけで信用買い残の3分の1超を占め、NTT・ソフトバンク・楽天といった大型通信株に投資家の買いポジションが極度に集中している。これは通信株の安定性・高配当への期待を反映する一方、セクター全体にネガティブなニュースが出た場合のリスク集中も意味します。

資源・エネルギーセクターは東京電力HDの存在で2位となっていますが、前月比-6.45%と買い残を減らしており、投資家心理の変化が見て取れます。

前月比増減率トップ&ボトム:オンコセラピー・サイエンスとフジクラが急増

前月比で信用買い残が大きく増加した銘柄大きく減少した銘柄を抽出すると、市場のセンチメント変化が浮き彫りになります。

信用買い残 増加率トップ3

オンコセラピー・サイエンスとフジクラは、信用買い残が2割以上急増したにもかかわらず株価は大きく下落しており、典型的な「需給悪化パターン」に陥っています。買い方が含み損を抱えたまま追加買いを入れている可能性が高く、短期的にはさらなる損切り売りが出やすい危険な状態と言えます。

信用買い残 減少率トップ3

ソフトバンクは買い残を大きく減らしながら株価は上昇しており、健全な需給改善のシグナルです。一方、東京電力HDと日経ベアETFは買い残減少と株価下落(またはデータなし)が同時進行しており、投資家が撤退を始めている可能性があります。

株価騰落率との相関分析:買い残増加≠株価上昇

信用買い残の前月比増減率と、当月の株価騰落率を比較すると、興味深い相関が見えてきます。

パターン 銘柄例 買い残増減率(%) 株価騰落率(%) 解釈
買い残増加+株価下落 オンコセラピー、フジクラ、環境フレンドリーHD +26.87, +24.05, +1.00 -16.67, -6.36, -15.25 需給悪化。ナンピン買いの可能性
買い残減少+株価上昇 ソフトバンク、三菱UFJFG -14.90, -0.28 +2.18, +8.69 需給改善。利確売りで健全化
買い残増加+株価上昇 NTT +4.42 +0.59 強気継続。ただし株価の伸びは鈍い
買い残減少+株価下落 東京電力HD、JX金属 -6.45, -4.10 -4.48, -12.43 投資家離れ。需給・業績両面で弱い
“POINT”

信用買い残が急増しても株価が下がる銘柄は、「買い方が含み損を抱えて身動きが取れない」状態を示唆します。短期トレードでは避けるべき銘柄です。

三菱UFJFG(8306)は買い残がほぼ横ばい(-0.28%)でありながら株価が+8.69%と大きく上昇しており、実需(現物買い)主導の健全な上昇と評価できます。信用取引に依存せず株価が上がる銘柄は、中長期投資の観点からも信頼性が高いと言えるでしょう。

上位5銘柄の過去8週間推移:NTTの買い残急増が際立つ

過去8週間(2026年3月13日〜5月1日)の上位5銘柄の信用買い残推移をグラフ化すると、各銘柄の需給トレンドが明確になります。

NTT(9432):8週間で5000万株超の積み増し

  • 3月13日: 1億4978万株
  • 3月27日: 1億657万株(大幅減)
  • 4月10日: 1億2577万株(再増加)
  • 5月1日: 1億5501万株(過去最高更新)

NTTは3月末に一度大きく買い残を減らしましたが、4月以降再び急増し、5月1日時点で過去8週間の最高水準に達しました。信用倍率も76.87倍と極端に高く、ほぼ一方的な買い目線が続いています。

東京電力HD(9501):高水準維持も5月に減少

  • 3月13日: 9177万株
  • 4月24日: 1億669万株(ピーク)
  • 5月1日: 9980万株(前月比-6.45%)

東京電力HDは4月下旬にピークをつけた後、5月に入って買い残を減らしています。株価も-4.48%と下落しており、投資家心理の冷え込みが数字に表れている形です。

メタプラネット(3350):高水準横ばいだが株価は急落

  • 3月13日: 4325万株
  • 3月27日: 5205万株(ピーク)
  • 5月1日: 4711万株(+1.86%)

メタプラネットは信用買い残が高水準で推移していますが、株価は-10.32%と大きく下落しました。信用売り残がほぼゼロ(200株)のため信用倍率が算出不能な状態で、ほぼ一方的な買い目線にもかかわらず株価が崩れる需給の歪みが顕著です。

三菱UFJFG(8306):買い残減少で健全な上昇

  • 3月13日: 4228万株
  • 5月1日: 3678万株(約550万株減)

三菱UFJFGは8週間で約13%の買い残減少を伴いながら株価は+8.69%上昇しており、信用取引に依存しない実需主導の健全な上昇トレンドと評価できます。

日経平均ベア2倍上場投信(1360):乱高下

  • 3月13日: 3732万株
  • 4月24日: 5989万株(急増)
  • 5月1日: 5228万株(-12.71%)

日経ベアETFは市場の下落局面で買い残が急増しましたが、5月に入って大きく減少しました。ヘッジ目的の短期売買が活発であることを示しています。

グロース市場銘柄の需給悪化が顕著

上位20銘柄のうち東証グロース市場に上場する銘柄は以下の7銘柄です。

グロース市場の上位銘柄は全銘柄が株価マイナスであり、信用買い残が増加した銘柄ほど下落率が大きい傾向が見られます。グロース株は値動きが大きく信用取引のターゲットになりやすい一方、需給が悪化すると一気に売り込まれるリスクも高いことを改めて示す結果となりました。

想定と違った点:買い残増加銘柄の株価下落

本レポートでは「信用買い残上位銘柄=市場の注目株」という前提で集計していますが、買い残が急増した銘柄ほど株価が下落するという逆相関が顕著に表れた点は想定外でした。

通常、信用買い残の増加は「強気の投資家が増えている」シグナルとして捉えられますが、今月のデータでは以下のような構図が浮かび上がりました。

  1. オンコセラピー・サイエンス(4564): 買い残+26.87%、株価-16.67% → 買い方が含み損を抱えたままナンピン買いを続けている可能性
  2. フジクラ(5803): 買い残+24.05%、株価-6.36% → 材料期待で買いが先行したが実際の業績・株価が追いつかず
  3. 環境フレンドリーHD(3777): 買い残+1.00%、株価-15.25% → 信用売り残ゼロで一方的な買い目線だが株価は崩落

これらの銘柄に共通するのは、「信用買い残の増加=強気ポジションの積み上げ」が、株価の下支えではなく「将来の売り圧力の蓄積」として機能してしまった点です。

なぜ買い残増加が株価下落につながるのか?

  • ナンピン買いの罠: 株価下落局面で「もっと下がったら買い増す」という心理が働き、買い残が膨らむが、結果的に含み損が拡大し損切りの連鎖を招く
  • 流動性の問題: グロース株や中小型株は出来高が少なく、少しの売りで株価が大きく動くため、信用買い方の「いつか戻る」期待が裏切られやすい
  • 需給の歪み: 信用買い残が一方的に膨らむと、反対売買(決済売り)の圧力が将来的に顕在化し、株価の戻りを抑制する
  • 今月のデータは、信用買い残が多い=必ずしも強い銘柄ではないという重要な教訓を示しています。

    💭 かぶきちの見解

    NTTが1億5501万株で圧倒的首位を維持し前月比+4.42%と買い残を積み増す一方、株価は+0.59%と小幅上昇に留まる。対照的に東電は買い残-6.45%・株価-4.48%と両面で調整。注目はオンコセラピー・サイエンス(4564)で買い残+26.87%急増も株価-16.67%と逆行。フジクラ(5803)も+24.05%の買い残増加で株価-6.36%。信用買い残の急増と株価下落が同時進行する銘柄は需給悪化の兆候であり、短期的にはさらなる下押し圧力に警戒が必要。情報・通信セクターが上位20銘柄の34.87%を占め、NTT・ソフトバンク・楽天等の大型株に買い残が集中する構造は市場全体のリスク偏在を示唆している。

    同様の定点観測をカブチャレで行う方法

    カブチャレ(kabu-challenge.com)では、本レポートで使用した信用買い残データをリアルタイムで取得し、独自の分析を行うことができます。以下のステップで定点観測環境を構築しましょう。

    ステップ1:信用買い残ランキングページにアクセス

    カブチャレのトップページから「信用残ランキング」セクションに移動します。ここでは以下の条件でランキングを表示できます。

    • 市場区分(プライム/スタンダード/グロース/全市場)
    • 信用買い残 or 信用売り残
    • 比較基準(前日比/前週比/前月比)
    • 表示件数(トップ20/50/100)

    ステップ2:CSV/JSONエクスポート機能を活用

    ランキングデータはCSV形式またはJSON形式でダウンロード可能です。Excelやスプレッドシートで加工すれば、独自の分析テーブルやグラフを作成できます。

    ステップ3:週次/月次アラート設定

    特定の銘柄について「信用買い残が前週比+10%を超えたらメール通知」といったカスタムアラートを設定できます。これにより、需給の急変をリアルタイムで捉えることが可能です。

    ステップ4:過去データのバックテスト

    カブチャレのバックテスト機能を使えば、「信用買い残上位20銘柄を均等買いした場合のパフォーマンス」といった仮説検証も可能です。以下のような戦略を設計してみましょう。

    • 毎月第1営業日に信用買い残上位20銘柄を均等買い
    • 1ヶ月保有後に全決済
    • リバランスを繰り返す

    このバックテストにより、「信用買い残上位銘柄は本当にパフォーマンスが良いのか?」を定量的に検証できます。

    ステップ5:セクター別フィルタリング

    「情報・通信セクターの信用買い残トップ10」「グロース市場の信用買い残トップ20」といったセクター別・市場別のフィルタリングも可能です。これにより、特定セクターの需給集中度を継続的にモニタリングできます。

    まとめ:信用買い残データは需給の歪みを映す鏡

    2026年5月の信用買い残トップ20銘柄を分析した結果、以下の重要なポイントが明らかになりました。

    • NTTが圧倒的首位で1億5501万株、前月比+4.42%と買い残を積み増し
    • 情報・通信セクターが上位20銘柄の34.87%を占め、リスクが大きく偏在
    • オンコセラピー・サイエンスとフジクラは買い残が急増したにもかかわらず株価は大幅下落 → 需給悪化のシグナル
    • 三菱UFJFGは買い残減少+株価上昇で健全な需給改善を示す
    • グロース市場銘柄は全銘柄が株価マイナスで、信用取引リスクが顕在化

    信用買い残が多い銘柄は「市場の注目株」である一方、買い残の急増と株価下落が同時進行する銘柄は需給悪化のサインであり、短期トレードでは避けるべきです。一方、買い残が減少しながら株価が上昇する銘柄は実需主導の健全な上昇と評価でき、中長期投資の候補として注目する価値があります。

    信用買い残データは市場の需給バランスを映し出す鏡です。カブチャレの定点観測機能を活用し、毎月のトレンド変化を追い続けることで、他の投資家より一歩先んじた投資判断が可能になるでしょう。

    よくある質問(FAQ)

    信用買い残が多い銘柄は株価が上がりやすいのですか?

    必ずしもそうとは限りません。信用買い残が多いということは、将来的に「売り圧力」として顕在化するリスクを抱えています。買い残の増加と株価下落が同時進行する銘柄(オンコセラピー・サイエンスやフジクラなど)は需給悪化のシグナルであり、短期的には下落リスクが高まります。

    NTTの信用買い残が圧倒的に多い理由は何ですか?

    NTTは時価総額が大きく流動性が高いため、機関投資家や個人投資家の両方から信用取引の対象として選ばれやすい銘柄です。また、配当利回りの高さや安定性から中長期保有目的の信用買いも多く、結果として買い残が積み上がりやすい構造にあります。

    信用倍率(credit_rate)が異常に高い銘柄の見方を教えてください

    NTTの76.87倍やメタプラネットのように信用売り残がほぼゼロの場合、信用倍率は極端に高くなります。これは「ほぼ一方的な買い目線」を意味し、需給が偏っている証拠です。反転時には買い方の一斉手仕舞いで急落リスクが高まるため、ポジション管理に注意が必要です。

    このレポートはどのくらいの頻度で更新されますか?

    本レポートは月次で更新され、毎月第2営業日に前月末時点のデータを集計・公開します。信用買い残の推移を継続的に追うことで、市場の需給バランスやセンチメントの変化を定点観測できます。


    参考記事